本家版MODX Evolution 1.0.9がリリースされました

MODX Evolution 1.0.9 Restarts the Little Engine that Could

リトルエンジンというのはEvoの小規模なパーサのことを指しているのかと思いましたが、そうではなくて、アメリカで有名な童話イメージになぞらえているみたいです。壊れたベテラン機関車の代わりに、大切な荷物を届ける使命を負った小さな機関車。彼は「こんなの簡単、僕ならできる!」と言い聞かせながら峠を乗り越えて使命を果たします。

というわけで、新生EvoチームによってMODX Evolution 1.0.9をリリースすることができました。「古くて複雑な構造のCMSの修正を実現した!」みたいな話になってますが、実際のところ、修正できるのに「しなくていい」と長期に渡って阻んでいたのは誰かと・・

チームを牽引する機関車役を務めているのは、ウクライナのドミトロ。東欧・ロシア圏ではEvolutionの支持が高く、本家で配布されてないような便利なスニペットなども豊富に流通しています。

今回の件は、ドミトロがライアンに「私が鍵を預かる」と伝えたことがきっかけです。LLC代表のライアンとしても、かれこれ一年近く「門番」を探していたので、やっと念願がかなったことになります。日本チームは率先して名乗り出るべきでしたが、日本はシェアが低くて難しい。ロシア語圏はEvoの市場がそこそこ成り立っています。

ドミトロを筆頭として、日本の自分、ドイツのジャコ、ロシアのAgel_Nashの4人で新しいEvoチームを構成しています。お互いに尊敬し合える最高のチームワークです。
※注・Agel_Nashは参加スタンスの違いにより現在は脱退しています。チームに属さず、個人として自由な立場からコミットしたいということのようです。

実際の開発は、トラッカーとSkypeチャットがベース。基本的にはトラッカーにチケットをガンガン並べて片っ端から処理していきますが、難しい話はSkypeに持ち込まれて、その場で修正します。スピード感があります。

MODXの近況

2013年中にMODX3をリリースすると宣言されたのが去年の5月か6月の話。その直後から、ほぼ毎月行われていたRevolutionのアップデートが停滞し、Cloudサービスの充実に注力するようになりました。

http://modx.com/
現在のサイトのイメージを見ても分かるとおり、本家MODXチームは、「開発チーム」というよりサービス提供業者としてのスタンスを強めています。

パッケージのダウンロードはいちおうできますが、控えめな表現ですし、

パッケージのダウンロードページでもCloudのアピールのほうが目立ちます。うっかりTry it Freeのほうをクリックしてしまいそうです。今からMODXを使う人はCloudのほうを試してみてくださいということでしょう。

でも月額が少し高い。数千円くらいします。しかもインスタンスを管理する画面は全部英語。日本人が使うには今のところメリットが少ないです。スケールアップやスケールアウトには対応してないし、メリットとしてはMODXサイトをいくつでも簡単に作れて複製も簡単、ということくらいです。一年ほど様子を見てましたが、ちょっと厳しいんじゃないかというのが正直な感想です。

http://modx.jp/news/20130113.html

MODX3はどうなってるのかとライアン(リーダー)に聞いたところ、

http://www.kendoui.com/
Kendo UIの採用を検討していたが、採用しないことになった。という返事が返ってきたのみです。どうも、ExtJSと大差ないみたいなんですね。MODX3のコードは、まだ一行も書かれていないみたいです。もう3月ですので、今からMODX3を出すとしたら、アルファに近い状態か、Revolutionの見た目を変えた程度のものを出すのが精一杯だと思います。去年の5月頃から言ってた話なので、かなり遅れています。

MODXといえば、世界的には今はRevolutionです。Evolutionが普及してるのは日本とロシアくらいのものです。でも日本とロシアのスキルが低いのかというと、むしろ逆ではないかと思うことのほうが多いです。

最近になってですが、Evolutionの開発を再開するから手伝ってほしいと声がかかりました。発起人はウクライナのドミトロ氏。ロシア版Evolutionの作者です。ライアンを説得したみたいです。ドミトロ氏のサポートを務めるアジェル氏の技術が高く、彼ら2人が今後のEvolutionの命運を握ると言っても過言ではないと思います。

1.0.6・1.0.7・1.0.8は、最低限の消極的な修正しか行われませんでしたが(一行しか変わってないとか・・)、現在整理中の1.0.9はアグレッシブな改修が進んでいます。

リーダーのライアンは「どんどんやってくれ!」と乗り気ですが、技術チーフのジェイソンがどう出るか。Revolutionの開発に専念していただいて、Evolutionのことは全部任せていただけたらと思うのですが。

かつて新世代型CMSとして注目を浴びたMODXですが、この数年は低迷しています。よくできたシステムなので私はずっと使うつもりですが、できれば順当に普及してほしいなと思います。あれこれ戦略的に考えるのが、かえってまずいんじゃないでしょうか?